新型コロナウイルスが猛威を振るい、感染拡大の脅威に怯えるあまりに「コロナ差別」という言葉まで登場するくらいで、
コロナがらみのハラスメントや嫌がらせが横行するようになりました。
特に懸念されるのは感染または感染を疑っての退職強要です。
1 コロナ感染を理由にした退職強要はパワハラ
➀ コロナによる解雇が激増中
労働法が定める解雇には「普通解雇」と不祥事を罰する「懲戒解雇」、さらにリストラと言われる「整理解雇」の3種類ありますが、
整理解雇はコロナによる売上激減で飲食業を中心に急激に増えていますが、
最近ではコロナ感染者または感染が疑われる人に対する退職強要が増えてきているようです。
➁ コロナウイルス感染を理由にした解雇は認められる?
病気のために仕事ができなくなった場合、普通解雇として解雇が認められる場合もあります。
新型コロナウイルス感染症も病気のひとつですから、もし仮に感染したとして、普通解雇が認められるかどうかを考えてみたいと思います。
⑴病気を理由に解雇が認められる場合の前提条件
病気を理由に普通解雇が認められる大前提として、
あらかじめ就業規則に「精神または身体の障害により業務に耐えられないとき」というように明記されていなければなりません。
次に、解雇日の30日以上前に解雇することを本人に明確に伝えることが絶対条件となります。
もし、この期間より短い日数しかなく解雇をする場合には、解雇予告手当として30日分以上の賃金を支払うことが会社に求められます。
就業規則への明記と解雇予告期間が守られていてことを前提に、
病気を理由にした解雇が認められるケースは、業務外の病気や怪我で仕事ができなくなった場合と治る見込みのない場合があります。
入院や自宅療養でしばらく勤務ができないときは、数か月から1年程度の休職制度を設けている会社ならそれを利用することができますが、
制度のない会社だと普通解雇の可能性があります。
ただし、即日解雇は認められず、ある程度欠勤が続いた上でということになります。
コロナウイルス感染症の場合で、休職制度のない会社だとこちらで解雇される可能性はあります。
③ コロナウイルス感染を疑って退職を強要された場合
咳など単なる風邪症状や花粉症なのにコロナ感染を疑ったり決めつけて
退職を強要するのはハラスメントです。
そのことで職場で阻害される、心身が不調になるなどの不利益を被れば慰謝料請求もできる可能性が高くなります。
さらに、執拗など悪質な場合は、名誉棄損罪(刑法230条)または侮辱罪(刑法231条)が成立することも考えられますし、
感染を疑い脅し文句を並べて無理に退職を迫ったりすると強要罪(刑法223条)になる場合もあります。
④ 解雇を言いわたされた時の対策
解雇されたときは、解雇を無効にして復職したいのか、解雇予告手当を払ってもらいたいのか、
さらに慰謝料まで要求するのか、じっくり考えて方向性を決める必要があります。
いずれにしても、相談できる窓口や専門家などに相談する必要がありますから、相談を受けて第三者が客観的にわかるように、
以下のものを用意しておいてください。
⑴ 解雇は何日前に通知されどういう理由で解雇されたのかまとめておく
⑵ 会社に「解雇理由証明書」を要求する
⑶ 「解雇理由証明書」を受け取ったら次の3点をチェックする
1 解雇された理由に思い当たるふしがあるかどうか
2 解雇された理由が就業規則にも解雇理由として明記されているかどうか
3 30日前に解雇予告されているか、30日未満であれば解雇予告手当を支払う旨の記載があるかどうか
⑷ その他の証拠集め
1 就業規則
2 解雇を言い渡された時の通知(書面、メール、音声データなど)
3 医師の診断書
⑤ 不当解雇の相談先
⑴ 都道府県の労働局相談窓口
各都道府県には労働問題全般について無料相談できる窓口があり、会社との交渉に立ち会ってもくれます。
ただし、労働局はあくまで斡旋ですから、会社から拒否される場合もあり必ず解決できるとは限りません。
また担当者によっては事務的な対応で終ってしまう場合もあるようです。
⑵ 労働基準監督署
総合労働相談コーナーがあり、電話相談も受け付けています。
労基は会社に立ち入り検査をしたり改善勧告をする権限がありますが、
個人の不当解雇問題ではあまり迅速には動いてくれないようです。
⑶ 弁護士
慰謝料要求まで考えている場合には、やはり弁護士に相談するの がいいのですが、
ネックは費用で相場は50万円から100万円以上と言われています。
会社に交渉して納得のいくような解決をするには、確実な証拠と綿密な計画それに適切な法律の知識がないと、なかなかうまく行きません。
当社ではお困りになっている方々に、ぞれぞれのプロの立場からご相談を承り、
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